耐震等級を上げると、出費が減ることがあるのをご存じですか?
耐震等級を上げることによって、
・税金
・保険料
が、安くなります。
目次
税金
家を手に入れる際に、親族から資金の援助を受ける方も多いと思います。
そうした場合、贈与という形になるので贈与税の支払い義務が生じます。
その贈与税のうちの500万円が非課税となる特別制度があります。
しかし、気を付けて頂きたいことが二つあります。
ひとつ目は、この制度を利用できるのは、
直系尊属(ちょっけいそんぞく)からの贈与に限らるということです。
直系尊属とは、父母、祖父母、曽祖父母、高祖父母など、
直接の祖先の系列に当たる人です。
伯父、叔母は、傍系尊属(ぼうけいそんぞく)となり
直系尊属にはならないので注意してください。
尊属(そんぞく)とは、自分よりも上の世代の血族(けつぞく)の事をいいます。
自分の子供は直系であっても、尊属にはあたらいという事です。
子供から、資金の援助を受けるというのは、
あまり考えられませんが、
リタイア後の家を、
子供から家をプレゼントしてもらったという方も
いらっしゃいますので、ゼロではないですね^^
そして、もうひとつの条件ですが、
良質と判断された住宅でなければなりません。
そして、この判断に必要なモノが
住宅性能評価書、若しくは住宅性能証明書です。
住宅性能評価書
住宅性能証明書は耳にしたことがあるかたもいるかと思います。
以下の10項目の性能を満たしている事を
証明するものです。
1、 構造の安定性(耐震性)
2、 火災時の安全性
3、劣化の軽減措置
4、維持管理のための配慮
5、温熱環境への配慮(省エネルギー性)
6、空気の清浄さを保つための配慮
7、光・視環境に関する配慮
8、騒音の防止などの音環境に関連する配慮
9、高齢者が快適に過ごすための配慮(バリアフリー性)
10、防犯への対策
住宅性能証明書
住宅性能照明書は、住宅性能評価の項目の内の一部です。
以下の3項目の内、1項目のみの証明をしてもらえます。
どれか1項目でいいので、取得するのは比較的容易にできます。
1、構造の安定性(耐震性)
5、温熱環境への配慮(省エネルギー性)
9、高齢者が快適に過ごすための配慮(バリアフリー性)
保険
地震に強い家、すなわち耐震等級が高い家は、
地震保険料が安くなります。
保険会社が支払うリスクが減るので当然ですね。
保険料の割引率は等級レベルによって変わります。
以下の数字をご参照下さい。
- 耐震等級1(建築基準法に定める地震力に対して倒壊・崩壊等しない程度)…10%
- 耐震等級2(耐震等級1の1.25倍)…30%
- 耐震等級3(耐震等級1の1.50倍)…50%
- 免振建築物 …50%
建築基準法に定める地震力
数百年に一度程度発生する地震とされ、
東京を想定した場合、
気象庁の定める震度階で震度6強から震度7
(関東大震災や阪神・淡路大震災程度)に
相当するとされています。
免振建築物
建物と基礎との間に免震装置を設置し、
地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを
直接伝えない構造
そして、この耐震性を証明するのが、
住宅性能評価書、若しくは住宅性能証明書です。
ちょっと役に立つかもしれない話
話がちょっとそれますが、建築会社選びの際に役立つ事をすこし…
「我が社がつくる建物は、耐震等級3程度の性能を誇っております。」
と、宣伝している会社がありますが、気を付けて下さい。
“耐震性能3程度“の”程度”という言葉に
騙されてはいけません。
工事会社が勝手に言っているだけで、
だれも証明していません。
もしかしたら、
本当にキチンと構造計算をして
正しい施工をしているのかもしれませんが、
お墨付きを頂かない限り、
法的には耐震性の高い家とはいえません。
保険料金の割引も、贈与税の特別措置も
受けることができません。
(耐震に限らず、”程度”という言葉には十分に気を付けてください。)
ついでに、住宅性能評価に伴う
工事会社の選考判断基準を書いておきます。
快適に住める家を建てている会社でしたら、
住宅性能評価書の基準となる項目をクリアすることは
難しくもなんともありません。
もし、あなたたが住宅性能証明書を必要としなくても、
「住宅性能証明書を得るには、いくら増額になりますか?」と
聞いてみて下さい。
その問いに対して高額な費用を提示してくるようでしたら、
その会社の標準仕様が劣悪だということになります。
高性能が標準仕様でしたら、
いつもの工事内容でいいので
工事費のアップはほとんどありません。
住宅性能証明書を取得するためにかかる手間賃と
申請料くらいで済みます。
どうしても兼価格住宅でないと払いきれないという場合を除いては、
このような会社に工事を請け負ってもらうのは避けた方がいいでしょう。
話を戻します。
お気付きかと思いますが、上の二つ
(贈与税の特別制度・地震保険割引)の
申請に必要な項目で、唯一共通のものがありますね。
そうです、耐震等級です。
これを証明できるだけで、節税と、保険料割引の
ふたつの恩恵を受けられるわけです。
地震に対しても備えて、しかもお金の節約になる。
もしあなたが、該当するようでしたら
やらない手はないですよね。
おわりに
耐震等級3を確保しましょう。
現在の日本の2階建て以下の住宅のほとんどが、
ちゃんとした構造計算を行っておりません。
一応、国で定めた簡易計算の方法がありますが
あまり信用できません。
簡易計算方法で行った数値と
正確に計算をする許容応力度計算
という計算方法で行った数値では
答えに違いがあります。
簡易計算の値は、許容応力度計算の値の
7割程度と言われています。
耐震等級を要求されていないのに
わざわざ、許容応力度計算を行って
設計をする会社はほとんどないと思います。
法律上は、
”耐震等級3”は、”耐震等級1”の1.5倍となっておりますが
このような状況をふまえて考えると
簡易計算で行った確認申請ギリギリの建物と
許容応力度計算を行った耐震等級3の建物を
比べると、耐震強度が2.1倍以上ということになります。
そして、熊本の地震で
確認申請ギリギリレベルの耐震等級1は
地震に対して抵抗できないということが
明らかになりました。
免振装置や制震装置を使えば、耐震等級が低くても
大丈夫ということを言う会社もありますが、
これらの装置は耐震性能が
しっかりしている建物に取付て初めて機能します。
元々弱い家に付けてもお金の無駄なだけです。
以上、耐震等級とお金の節約の話でした。
長文にお付き合い下さりありがとうございました。